本日は、FIRE達成時 = 会社を退職した際に、受け取ることのできる、失業給付についてわかりやすく説明したいと思います。
FIRE達成時において、何らかの収入源を確保できていない場合、収入が一時的に途絶える、といったことが見込まれます。その際の収入減少を緩和できるよう、所定の受給条件をクリアした場合、会社員として在籍時に加入していた雇用保険制度より失業給付を受給することができます。
そこで本稿では、「失業給付の概要、受給までの流れ、受給金額」をわかりやすく説明いたします。
FIRE後の資金対策検討の参考にしていただければと思います!

雇用保険の失業給付とは??
雇用保険の失業等給付には、失業【= FIREを達成されて、会社を脱出】された方が、安定した生活を送りつつ、1 日も早く再就職できるよう求職活動を支援するための給付として、「求職者給付」があります。「求職者給付」には、一般被保険者(FIRE達成者)に対する「基本手当」、高年齢被保険者に対する「高年齢求職者給付金」、短期雇用特例被保険者に対する「特例一時金」などがあります。今回は、最も代表的な「基本手当」(いわゆる、正社員(65歳未満)でFIREを達成された方向け失業手当)をについて、その内容や手続きを説明します。
雇用保険の被保険者が離職して、次の1及び2のいずれにもあてはまるときは一般被保険者については基本手当が支給されます。
- ハローワークに来所し、求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない「失業の状態」にあること。
- 離職の日以前2年間に、被保険者期間(※)が通算して12か月以上あること。
ただし、特定受給資格者又は特定理由離職者については、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上ある場合でも可。(※被保険者期間とは、雇用保険の被保険者であった期間のうち、離職日から1か月ごとに区切っていた期間に賃金支払いの基礎となった日数が11日以上又は賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上ある月を1か月と計算します。)
※注意点として、基本手当は、再就職をめざす方を支援する制度となっています。FIRE後どうされるかにもよりますが、以下の場合、受給できません。
1 家事に専念する方
2 昼間学生、または昼間学生と同様の状態と認められる等、学業に専念する方
3 家業に従事し職業に就くことができない方
4 自営を開始、または自営準備に専念する方 (求職活動中に創業の準備・検討を行う方は支給可能な場合があります。)
5 次の就職が決まっている方
6 雇用保険の被保険者とならないような短時間就労のみを希望する方
7 自分の名義で事業を営んでいる方
8 会社の役員等に就任している方 (就任の予定や名義だけの役員も含む)
9 就職・就労中の方(試用期間を含む)
10 パート、アルバイト中の方(※週あたりの労働時間が 20 時間未満の場合、就労した日、収入額の申告が必要となりますが、その他失業している日については基本手当の支給を受けることが可能な場合があります。)
11 同一事業所で就職、離職を繰り返しており、再び同一事業所に就職の予定がある方
手続きの流れについて
【制度概要図】

ステップ① 退職時に会社から「雇用保険の離職票」を受け取ります。
ステップ② 離職日(=FIRE達成日)後、離職票と必要資料を持参の上、住所地管轄のハローワークへ手続きに行きます。
ステップ③ 手続き後、「7日間の待機」と「2ヶ月間の給付制限期間」を経て、失業給付が支給されます。
ステップ④ 以後、4週(28日間)ごとにハローワークへ行き、受給手続きを行います。
※ 離職日以降、原則、1年以内に所定の給付日数分を受給する必要があります。
【手続きフロー図】

1日あたりの受給金額について
雇用保険で受給できる1日当たりの金額を「基本手当日額」といいます。この「基本手当日額」は原則として離職した日の直前の6か月に毎月きまって支払われた賃金(つまり、賞与等は除きます。)の合計を180で割って算出した金額(これを「賃金日額」といいます。)のおよそ50~80%(60歳~64歳については45~80%)となっており、賃金の低い方ほど高い率となっています。尚、基本手当日額は年齢区分ごとにその上限額が定められています。

【 基本手当の金額表 】

受給できる日数(所定給付日数)について
受給できる日数は以下の通りです。
FIREの場合は、自己都合退職、「一般の離職者である方」に該当するので、被保険者(雇用保険に加入していた期間)によって、「90日・120日・150日」となっています。

受給額(簡易)シミュレーション
では、実際の受給金額はどうなるか??というところですが、サブ3サラリーマンを例にした場合
・基本手当の日額が上限の7,510円 ・給付できる日数120日 つまり、7,510×120 = 901,200円
実際に受給する場合は1日、7,510円を4週(28日間)ごと、つまり、7,510×28 = 210,280円を120日に達するまで、受給していくことになります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。決して多い金額ではありませんが、退職後3〜4ヶ月程度の生活防衛資金としては、十分かと思います。受給するには、一定の条件や手続きが生じ、全てクリアしなければなりませんが、利用できる制度は積極的に活用いただき、FIRE生活資金の足しにしていただければと思います。
以上を踏まえ、FIRE後の資金シミュレーションにお役立ていただければ幸いです。