先日、老後資金のシミュレーションを行っていた中で、参考とした年金に関する公的データを共有したいと思います。
私、サブ3サラリーマンは、「社会保険労務士資格保有者」です。年金に関する専門家でもあるので、今回はその知見も活かしてお伝えしたいと思います。
では早速!!

まず、参考資料はこちらです。
【 令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 】
本資料は、厚生労働省が毎年公表している統計資料になります。
令和2年度の資料は、表紙~巻末の資料を含めて全部で48ページございます。
その中で、今回は統計データとしてお伝えしたい要点箇所
「 国民年金 / 厚生年金 男女別年金月額階級別老齢年金受給権者数 」を抜粋してお伝えいたします。
と!その前に!
まずは、年金額の算出方法の仕組みについて理解する必要があるかと思います。

こちらをご覧ください!
【ライフコース別にみた公的年金制度概要】
FIRE前の、会社員時代は、中央列、厚生年金(第2号被保険者)です。
FIRE後の、自営、独立時は、左側の国民年金(第1号被保険者)に移行します。
厚生年金(第2号被保険者)では、会社が保険料を半額負担してくれるなど利点があります。また、将来においても、国民年金に加えて厚生年金を受給することができます。
国民年金(第1号日保険者)は、ご自身で国民年金保険料を納付します。国民年金保険料はおよそ、16,000円程度/月(定期に見直しあり)となっております、将来支給される金額については、40年間全て納めた満額でも、年間約78万円(月額6.5万円)程度(定期に見直しあり)となっております。

厚生労働省 【 教えて!公的年金制度 公的年金制度はどのような仕組みなの?】より引用
現行年金制度の財政方式
現行の公的年金制度は、現役世代が納めた保険料をその時々の高齢者の年金給付に充てる仕組み (=賦課方式)を基本とした財政方式。 その上で、経済の変動などにより、年金給付の支給に支障が生じないよう、過去に積み立てた積立金を活用しつつ運営しています。

老齢年金とは
老齢年金は、公的年金制度の加入者であった方の老後の保障として給付されます。 原則として65歳になったときに支給が始まり、生涯にわたって受け取ることができます。 老齢年金を受け取るためには、保険料納付済期間(厚生年金保険や共済組合等の加入期間を含む)と保険料免除期間などを合算した資格期間が、10年以上必要となります。 加入していた年金制度により、国民年金の「老齢基礎年金」と厚生年金保険の「老齢厚生年金」が支給されます。老齢厚生年金については、生年月日に応じて、65歳前に「特別支給の老齢厚生年金」が支給されることがあります。
【 公的年金のイメージ(1階部分=国民年金/2階部分=厚生年金)】

老齢基礎年金(1階部分)
老齢基礎年金は、20歳から60歳になるまでの40年間の国民年金の加入期間等に応じて年金額が計算され、原則、65歳から受け取ることができます。 国民年金保険料を納付した期間や免除を受けた期間のほか、サラリーマンや公務員として厚生年金保険や共済組合等に加入した期間や、専業主婦(主夫)として国民年金に加入していた期間についても、老齢基礎年金の計算に含まれます。60歳から65歳までの間に受給開始時期を繰り上げて減額された年金を受け取り始める「繰上げ受給」や、66歳から75歳までの間に受給開始時期を繰り下げて増額された年金を受け取り始める「繰下げ受給」の制度があります。
老齢厚生年金(2階部分)
老齢厚生年金は、厚生年金保険に加入していた方が受け取ることができる年金です。 厚生年金保険に加入していた時の報酬額や、加入期間等に応じて年金額が計算され、 原則、65歳から受け取ることができます。 老齢厚生年金にも、老齢基礎年金と同様に「繰上げ受給」や「繰下げ受給」の制度が あります。
年金を受け取るために必要な資格期間
老齢基礎年金・老齢厚生年金を受け取るためには、10年以上の資格期間が必要です。ただし、平成29年7月以前に受給開始年齢を迎える方は、原則25年以上の資格期間が必要になります。

【 資格期間について 】
老齢基礎年金・老齢厚生年金を受取るのに必要な資格期間は、次の期間等の合計になります。
① 厚生年金保険(船員保険を含む)の加入期間
② 各共済組合等の組合員期間
③ 国民年金保険料を納めた期間、および免除・納付猶予された期間
④ 昭和61年4月以降、厚生年金保険・共済組合等に加入している方の被扶養配偶者として、国民年金の第3号被保険者になった期間
⑤ 昭和36年4月から昭和61年3月までの間に、厚生年金保険・船員保険・共済組合等に加入している方の配偶者が国民年金に任意加入しなかった期間、または任意加入したが保険料を納付しなかった期間(任意加入し、保険料を納付した期間は③に入ります。)
⑥ 昭和36年4月から昭和61年3月までの間に、以下の方が国民年金に任意加入しなかった期間、 または任意加入したが保険料を納付しなかった期間。 ・厚生年金保険・船員保険・共済組合等の老齢(退職)年金受給者とその配偶者 ・ 〃 障害年金受給者とその配偶者 ・ 〃 遺族年金受給者 ・ 〃 老齢(退職)年金の受給資格を満たした方とその配偶者 *昭和61年4月からは、老齢(退職)年金受給者以外はすべて、20歳から60歳まで国民年金に加入する ことになっています。
⑦ 昭和36年4月以降、海外在住者、学生などが国民年金に任意加入しなかった期間、または任意加 入したが保険料を納付しなかった期間
*平成3年4月からは、20歳以上の学生はすべて、国民年金に加入することになっています
⑧ 厚生年金保険・船員保険の脱退手当金を受け取った期間のうち、昭和36年4月以降の期間(大正15年4月2日以降に生まれた方で、昭和61年4月から65歳になるまでの間に国民年金の保険料納付済期間または保険料免除等期間を有する方に限ります。)
老齢基礎年金(1階部分) *年金額等は、令和4年度の金額

ご覧の通り、老齢基礎年金(1階部分)は、40年全期間保険料を納めても、年間約78万円(月額6.5万円)程度です。
(参考)付加年金について

老齢厚生年金(2階部分)
老齢厚生年金の年金額は、厚生年金保険に加入していた時の「報酬額」及び、「加入期間等」に応じて計算されます。

※1 共済組合加入期間を有する方の報酬比例部分の年金額については、各共済加入期間の平均報酬(月)額と加入期間の月数に応じた額と、その他の加入期間の平均報酬(月)額と加入期間の月数に応じた額をそれぞれ計算します。
※2 平均標準報酬月額・・・平成15年3月以前の加入期間について、計算の基礎となる各月の標準報酬月額の総額を、平成15年3月以前の加入期間で割って得た額です。
※3 平均標準報酬額・・・平成15年4月以降の加入期間について、計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を、平成15年4月以降の加入期間で割って得た額です。
※4 昭和21年4月1日以前に生まれた方については、給付乗率が異なります。
厚生年金の年金額については、個々の加入状況「厚生年金保険に加入していた時の報酬額(給与・賞与)」「加入期間」に応じて計算されます。
以上が、国民年金と厚生年金の概要と年金計算の仕組みについて説明です。
その他、詳細につきましては、下記「老齢年金ガイド令和4年度版」をご参照ください。
年金制度の概要を理解いただいた上で、本題へ参ります!!

「 国民年金 / 厚生年金 男女別年金月額階級別老齢年金受給権者数 」の確認です!
国民年金(1階部分)の受給者数と平均受給金額 (令和2年度末現在)
国民年金の年金月額階級別の老齢年金受給者数は以下の通りとなっています。

赤枠、「6~7万円」 → 「 5~6万円」 → 「 4~5万円」 という順になっています。老齢基礎年金については、“概ね満額近く受けられる方が多い傾向”であることが分かります。
先ほど確認した通り、国民年金(1階部分)は満額でもおよそ月額6.5万円です。

厚生年金(2階部分)の受給者数と平均受給金額(令和2年度末現在)
厚生年金の年金月額階級別の老齢年金受給者数は以下の通りとなっています。

赤枠、「9~12万円」「 17~18万円」がボリュームゾーンということが分かります。
(補足説明)

「年齢別」老齢年金受給者数と平均受給金額 (令和2年度末現在)

上記、赤線以下の65歳以降は「老齢基礎年金(国民年金)+ 老齢厚生年金(厚生年金)」となるため、金額が増えています。

【おまけ】「都道府県別」老齢年金受給者数と平均受給金額 (令和2年度末現在)

上記赤枠、「 関東圏、東海圏、関西圏 」の金額水準が高いことが分かります。

まとめ
今回は、公的年金制度の概要と実際の支給金額の実態について確認いたしました。
老後にいくらの生活費が必要かについては、個人ごと、世帯ごとに異なるかと思います。まずは、皆様各自にて、現行制度を参考にシミュレーションをされるもの良いかと思います。
また、別記事でも、年金試算・シミュレーターについて記載しております。併せてご参照ください。

最後に、上記はあくまで、“現行の年金法令における金額”になります。年金制度は、数年単位で法改正が行われる為、今後の人口構成の状況により、「給付水準(低下)の見直し」や「支給開始年齢(後ろ倒し)の見直し」等が行われる可能性もございます。

「法制度や前提条件は、改正により変更となることがある。」その点につきましては、ご留意いただければと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。