今回は、米国の市場参加者が「恐怖(弱気)」と「強欲(強気)」どちらの傾向なのか、について数値で示す「恐怖・強欲指数(Fear & Greed Index)」の使い方についてご説明します。
恐怖・強欲指数「Fear & Greed Index」とは?
恐怖・強欲指数「Fear & Greed Index」は、米国メディアのCNNが公表している経済指標です。

【 概要 】
バロメーターによって、米国の株式市場参加者の心理状況が、
GREED(強欲・強気)▶︎買い傾向
FEAR(恐怖・弱気)▶︎売り傾向
どちらに傾いているのかということを数値で示しています。見方は以下の通り、50を中間として、0に近づくほど「恐怖・弱気(売り傾向)」100に近づくほど「強欲・強気(買い傾向)」となります。
【 恐怖・強欲指数の見方 】
- 0〜25:極度の恐怖(Extreme Fear)
- 26〜49:やや恐怖寄り(Fear)
- 50:中間(Neutral)
- 51〜74:やや強欲寄り(Greed)
- 75〜100:極度の強欲(Extreme Greed)
ちなみに、本日(2022年9月25日)は、「数値24の極度の恐怖(Extreme Fear)」を指しています。では実際に市場はどうなっているかというと・・・。
【2022年9月25日(前日取引終了時(9月23日)の米国市場相場】


Google Finance より引用

2022年9月は、米国のインフレ抑制に対する金利引き上げに伴い、株式相場は軒並み下落しています。NYダウについては、(2022年9月23日時点)年初来最安値となる、30,000ドルを下回る状況となっています。
つまり、Fear & Greed Indexが示す「数値24の極度の恐怖(Extreme Fear)」についても妥当ということが言えますね。
7つの恐怖・強欲の指標について
恐怖・強欲指数(Fear & Greed Index)は、次の7つの指標も示しています。
- 市場の勢い(Market Momentum)
- 株価の強さ(Stock Price Strength)
- 株価の振れ幅(Stock Price Breadth)
- プットとコールオプションの取引量(Put and Call Options)
- 市場のボラティリティ(Market Volatility)
- 安全資産への需要(Safe Haven Demand)
- ジャンク債の需要(Junk Bond Demand)
1.市場の勢い(Market Momentum)

過去数ヶ月間の株式市場の水準と比較して見ることは有用です。S&P 500が過去125取引日の移動平均またはローリング平均を上回っている場合、それはポジティブな勢いの兆候です。しかし、指数がこの平均を下回っている場合、投資家が神経質になっていることを示しています。恐怖と強欲指数は、恐怖のシグナルとして減速する勢いと、強欲の勢いの高まりを示しています。
2.株価の強さ(Stock Price Strength)

いくつかの大きな株式は、市場のリターンを歪める可能性があります。また、苦戦している銘柄と好調な銘柄の数を知ることも重要です。これは、NYSEの株式数が52週間の高値で、52週間の安値の株式数と比較して示しています。安値よりも高値の方がはるかに多い場合、それは強気の兆候であり、強欲さを示しています。
3.株価の振れ幅(Stock Price Breadth)

市場は何千もの株式で構成されています。そして、いつでも、投資家は積極的にそれらを売買しています。この指標は、下落している株式の数と比較して上昇しているNYSEの株式の量または量を調べます。低い(または負の)数値は弱気の兆候です。恐怖と強欲指数は、恐怖のシグナルとして取引量の減少を示します。
4.プットとコールオプションの取引量(Put and Call Options)

オプションとは、投資家に株式、指数、またはその他の金融証券を合意された価格と日付で売買する権利を与える契約です。プットは売るオプションであり、コールは買うオプションです。プットとコールの比率が上昇しているとき、それは通常、投資家がより神経質になっている兆候です。1を超える比率は弱気と見なされます。恐怖と強欲指数は、恐怖のシグナルとして弱気オプション比率を示します。
5.市場のボラティリティ(Market Volatility)

市場センチメントの最も有名な尺度は、CBOEボラティリティ指数(VIX)です。VIXは、今後30日間のS&P500指数オプションの予想価格変動またはボラティリティを測定します。VIXは、より広範な市場が反発し、株式が急落すると急騰する日にしばしば下落します。しかし、鍵となるのは、VIXを時間をかけて見ることです。強気相場では低く、弱気相場では高くなる傾向があります。恐怖と強欲指数は、恐怖のシグナルとして市場のボラティリティの上昇を示します。
6.安全資産への需要(Safe Haven Demand)

株式は債券よりもリスクが高い。しかし、長期にわたって株式に投資することに対する報酬はもっと大きいです。それでも、債券は短期間で株式を凌駕する可能性があります。セーフヘイブンデマンドは、過去20取引日の国債と株式リターンの違いを示しています。債券は、投資家が怖がっているときにうまくいきます。恐怖と強欲指数は、恐怖のシグナルとして、増加する安全な避難所の需要を示しています。
7.ジャンク債の需要(Junk Bond Demand)

ジャンク債は、他の債券と比較してデフォルトのリスクが高くなります。債券利回り(または債券への投資で得られるリターン)は、価格が上がると低下します。投資家がジャンクボンドを切望すれば、利回りは低下します。同様に、人々が売っているときに利回りが上がります。したがって、ジャンク債とより安全な国債の利回りの差(またはスプレッド)が小さいことは、投資家がより多くのリスクを引き受けている兆候です。スプレッドが広いほど、より慎重です。恐怖と強欲指数は、強欲のシグナルとしてジャンクボンドの需要を示しています。
恐怖・強欲指数(
)を投資運用に活かす方法
恐怖・強欲指数(Fear & Greed Index)は、「オシレーター指標」として使うことができます。
オシレーターとは「振り子」や「振り幅」という意味で、投資用語では「買われ過ぎ」や「売られ過ぎ」を示すテクニカル分析手法のことを言います。「買われ過ぎ=割高」と捉え、「売りのサイン」と判断します。逆に、「売られ過ぎ=割安」と捉え、「買いのサイン」と判断します。
これがオシレーター指標であり、恐怖・強欲指数(Fear & Greed Index)もそれと同じ使い方ができます。
・0 〜 25:極度の恐怖(Extreme Fear)▶︎買いのサイン
恐怖・強欲指数(Fear & Greed Index)が25以下で推移しているとき、市場は「恐怖=弱気」傾向です。つまり株価が割安になっている可能性が高いと言えます。したがって、市場が強い恐怖・弱気状態になっている時は、絶好の買い場と言えます。
・75 〜 100:極度の強欲(Extreme Greed)▶︎売りのサイン
恐怖・強欲指数(Fear & Greed Index)が75以上で推移しているときは、市場は「強欲=強気」傾向です。株価も上昇傾向になります。含み益が出ている場合は、上昇傾向のうちに利益確定するのが良いと思われます。逆に株価は割高となっている可能性もあるので追加投資は、様子を見た方が良いかもしれません。
まとめ
今回は、米国の市場参加者が「恐怖」と「強欲」のどちらに傾いているかを、数値で示す「恐怖・強欲指数(Fear & Greed Index)」についてご説明いたしました。
株式市場(株価)は企業価値や業績のみでなく、投資家の心理も反映されています。株価チャートで株価を確認する際、「現在の市場参加者の心理状況はどうなのか」という点についても確認をされるとよろしいかと思います。それによって、投資判断が変わるかもしれません。
以上、本稿が参考になれば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。